Parallel
8
※黒さん視点です。
『番犬が暴れとります。』
『番犬』…それが指し示すものは、北区に拠点を置く敵対チーム《ケルベロス》。
「末端のチンピラどもなら放っておけ…と言いたいとこだが、お前が連絡を寄越す位だ。違うんだな?」
《ケルベロス》は、この一帯で最大規模を誇る。
だが、使い物になる人数を数えたら、うちと大差無い程度。殆どは虎の威を借る狐。名乗る資格も無いようなチンピラばかりだ。
そんな小者が暴れてようと、大した問題では無いが…朱雀がオレに連絡を寄越した事を考えれば、その可能性は低い。
『…はい。』
「幹部か。」
『……幹部も動いとりますが…指揮を取っとるのは、御門暁良です。』
「何…?」
《ケルベロス》総長、御門暁良。
オレが知るあの男は、無気力で怠惰な男だ。滅多な事では、動かない。
一体、何が起こった。
「目的は何だ。」
『調査中ですが、…何や、人を探してるようですわ。』
「人探し…?」
人にも物にも一切の執着を見せない男には、似つかわしく無い言葉だ。
一体、誰を探している?
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