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Parallel
5


それから、大人しくなったオレの為に、その人は雑炊をつくってくれた。

ふんわり溶き卵にネギをちらしたソレは、とても美味しそうだ。一サジ掬うと鰹節の良いにおいがフワリと香る。


冷ましてから一口食べてみたら、繊細で優しい味がした。


「……美味しい。」

「…そりゃ、良かった。」


思わず零れた言葉に、その人はとても嬉しそうに、くしゃりと相好を崩す。
笑み崩れても、見惚れる位の男前って、最早反則じゃないか?


男の人に、一瞬とはいえ見惚れてしまった自分を誤魔化す為に雑炊を頬張ると、その人は不思議そうな顔をしつつも、『喉に詰まらせんなよ?』と幼子に言ってきかせる様に呟き、オレの頭をくしゃりと撫でた。


「それ食い終わったら、薬飲めよ。…あ、でも無理すんな。食える分だけ食え。」


雑炊の入った土鍋の横には、グラスと水差し、それからCMでよく見る風邪薬が置いてあった。

何から何まで、至れり尽くせりだな…。


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