Parallel
9
「……っ、」
永遠が欲しいんじゃない。
生きる意味が欲しかった。
オレが、生きている、存在理由が欲しかった。
「…ふっ、ぁ!?」
曖昧な言葉は、唇ごと塞がれた。
「…っ、」
両手を壁に縫い付けられ、荒々しく唇を貪られる。
キス、なんて生易しいものじゃない。
これは、捕食だ。
ただ、奪われ食われるだけの交わり。
無理矢理歯列を抉じ開け、侵入してくる舌に、生理的な涙が溢れる。
心が感じる前に、本能が違うと叫ぶ。
違う。
違う。
違う。
――チガウ。コレジャナイ。
オレが、欲しい、のは
――ガリッ、
「っ!!」
入ってきた舌に、思い切り噛み付いた。
一瞬緩んだ隙に手を振り解いて、オレは駆け出す。
「さぃ、……凛っ!!!」
背後から呼び止める声に耳を塞ぎ、オレは全力でその場から逃げた。
志藤さんから。
御門から。
自分自身から。
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