Parallel
6
「なにす…、」
「これ以上、進んじゃダメだよ…?」
「…え……?」
肩を抱く手を振り払おうとして、オレは固まった。
優しい、というには、やけに甘い…
まるで毒のような声が、耳にドロリと流し込まれる。
「見たくないもの、わざわざ見る必要、無いでしょう?」
「っ…!!」
なんの事か、なんて明確には言っていない。
けれどその言葉に隠された意味を読み取ってしまうのは、
それが、オレが恐れていた事だからだ。
そして、最も現実感のある、御門がいなくなった、理由。
…連れてこられた場所が此処で、予想は八割方肯定されたも同じ。
……抱いているのだ。
オレじゃない、誰かを。
「……っ、」
…この胸の痛みはなに。
御門とオレは恋人でも家族でも友達でもない。
もしかしたら、セフレですらないかも。
分かり切っていた事だ。
オレにアイツを縛る権利なんて、なにも無い。
…ない、のに、
この、引き裂かれるような、鮮烈な痛みは、なんなの。
――嗚呼、オレは、
捨てられて当然だ。
一時の退屈を紛らわせる玩具の分際で、
――こんな、分不相応な想いを抱く、なんて。
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