Parallel
4
「……此処?」
かなり不本意そうに、それでも日下部さんが連れてきてくれたのは、
《ケルベロス》の溜り場のバー。
なにか食べて、薬を飲んでから、と交換条件を出し、渋々日下部さんは、車を手配してくれた。
厚着させたオレに更にショールを羽織らせ、それでも心配そうな目でオレを見る日下部さんに、今更良心が痛む。
…こんないい人に、心配かけた上に、迷惑までかけて、
それでもオレは、
アイツに、会いたい。
――抱いて、欲しい。
「…君は此処で待っていなさい。」
オレをソファーに座らせ、暖かい紅茶を用意してくれた日下部さんは、そう言って辺りを見回す。
「…かといって1人にするのもな……………誰か、」
キョロ、と視線を彷徨わせた日下部さんは、誰かを見つけたのか、立ち上がる。
「志藤!」
「…っ、」
オレは反射的に身を竦めた。
志藤……それは勘違いでなければ、あの人の、
「どした?………お。久しぶりだねぇ。」
「……………。」
ニコリ、と人懐っこい笑みを浮かべたのは、
オレが苦手とする人、
副総長――志藤 静さん、だった。
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