Parallel
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「……っや!?」
スルリ、と暁良は、オレの太ももを撫で上げる。
嫌だと押し退けようとしても、手首を掴まれ、壁に押し付けられている体勢では、ソレも適わない。
「暁っ…」
「やらねぇよ。」
「え…?」
唇が触れてしまいそうな距離で、暁良は真っ直ぐに、オレの瞳を覗き込む。
「誠実な男とやらにやる為に、待っててやったワケじゃねえ。…別の奴にやるくれぇなら、今すぐに汚してやるよ。」
「ちょ、」
スルリ、とリボンがとかれ、襟元を開けられた。
フワリ、とフレグランスが薫り、首筋に、暁良の唇が降りてくる。
チク、と微かな痛みが走った。
「やだっ…!!」
怖さに、涙がジワリと滲む。
ろくでなしで女ったらしでオレ様だけど、暁良は、オレに優しい。
本当に嫌がる事は、やめてくれたのに。
今の暁良は、怖いよ。
「…こわいよぉ…あきら…」
「………。」
半ベソのオレを一瞥して、暁良は短くため息をついた。
掴んでいた手を離し、両手でオレを抱き締める。
「……オレを止めるなんて、お前だけだ。」
幼なじみの顔に戻った暁良は、宥めるように、オレの髪を撫でてくれた。
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