Parallel
5
独り言のように、そう呟いた瞬間だった。
バンッ
「!?」
突然、乱暴に扉が開けられた。
当然、その暴挙は暁良の仕業。
「ちょっ…!?」
着替えが終わっているとはいえ、支度中だったオレは、怒って、また追い出そうと暁良を見上げて…止まった。
ガンッ
「っ!」
暁良は、苛立たしく壁に手をつき、オレを囲いこんだ。
至近距離にある藍色の瞳が、青く燃える炎のように、明確な怒りをはらんでいた。
…怖い。
こんな暁良は、知らない。
「…誰と、付き合うって?」
いつもは聞き惚れるような美声が、低く擦れている。
「……誰、って…。」
もしも、の話なのに。
それで何で、こんなに怒るのかが分からない。
冷ややかに瞳を眇めながら、暁良はオレの髪に、指を絡める。
「…こうやって髪を伸ばしているのも、その誠実な男とやらの為か?」
「違…べ、別に深い意味は。」
髪を伸ばし始めたのは、単に、母親にお願いされたからだ。
可愛い服に似合った、ヘアアレンジをさせろって。
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