Parallel
2
「護衛は京ちゃんがずっとしてたじゃん。何でしずちゃんなのさ。」
「日下部は今日、仕事らしいよー?」
二人の会話に、オレは『あ、そうなんだ』と心の中で相槌をうつ。
確かに最近外に出る時は、必ずと言っていい程日下部さんをつけてもらっていた。
勿論、御門がいない時限定だけど。
今日も当然そうだと思っていたのに、違ってビックリした。
…日下部さんでは無かった事が、動揺の原因でもあるんだけど、
それよりも、
「何か飲む?」
「っ…!」
己の思考に捕われていたオレは、声をかけられ、ビクリと体を揺らした。
見上げると、志藤さんは、華やかな美貌に、優しい笑みを浮かべる。
「アルコールじゃないのもあるよ?オレンジとか、烏龍茶とか。」
「あ、…じゃあ、烏龍茶下さい。」
答えると、志藤さんは、了解ー、と身を翻し、カウンターへと向かった。
「…………、」
オレは、知らず詰めていた息を細く吐き出す。
「…苦手なんだ?」
「っ!?」
ズバリ言い当てられ、オレは声の主、名雪さんを凝視した。
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