Parallel
3
言われ、自分の格好を思い出す。
いつもの事ながら、全裸だ。
一応下半身は、シーツで隠れているが。
オレは苦笑して、返事をした。
「…すいません。今、用意します。」
日下部さんは、見た目通り、真面目で折り目正しい人だ。
こんな爛れた生活をしているオレを、快く思う筈も無く、初めからオレは、実に分かりやすく嫌われている。
まぁ、そうやって分かりやすい感情を向けてくれるこの人が、オレは嫌いじゃないが。
シーツを巻き付けたまま、シャワールームへと向かい、簡単にシャワーを浴び、着替えをすます。
キッチンでコーヒーを入れる間も、日下部さんは、同じ場所にたったまま。
まるで景色の一つのように微動だにしていない彼に、オレは苦笑を禁じえない。
それは勿論、嘲りや皮肉を含んだものでは無く、どちらかといえば、微笑ましい行動をする子供に向けるようなものだったのだが、
日下部さんはそれを見留め、眉間にシワを刻んだ。
「…何が可笑しい。」
不愉快さを全面に出す人に、オレは笑顔のままマグカップを差し出した。
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