Parallel
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「…あれ?総長はー?」
店に一歩踏み行ったオレ、志藤静は、手元の資料から目を離して、そう呟いた。
溜り場である店に入り、店内を見回すが、王たる人物の姿が無い。
圧倒的な存在感を持つ美貌の主だ。
いればすぐに分かる。
…情報屋からの資料を預かってんだけどなぁー、とぼやいていると、入り口近くの席にいた奴が、おずおずと声をかけてきた。
「副総長…、総長でしたら奥に。」
言いづらそうな話し方と、困ったような顔で、ピンとくる。
「あー…、お楽しみ中、か。」
「はい…。」
奥の部屋、というのは、ベッドルームだ。
仮眠にも使われているが、大抵、そっち方面に大活躍。
あの美貌とカリスマオーラで、相手には事欠かず、一度限りで捨てられると分かりきっていても、望んで身を差し出す奴は後を絶たない。
「今日はどんな娘?美人系?可愛い系?」
大して興味も無かったが、何となく話の流れでついでに聞くと、ソイツは困惑した顔でかぶりを振った。
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