Parallel
3
ふぅ、とため息をついて、オレは気を取り直し、制服に着替えはじめる。
…自己紹介か遅れましたが、オレの名前は、斎藤 凛。今年から、電車で二駅離れた場所にある高校に入学したばかりの15才。
こんな言葉遣いですが、一応、女です。
「…まさか痴漢にあってねぇだろうな?」
外から扉に寄りかかっているらしい暁良が、話掛けてくる。
「…お前が言うな。」
さっきオレの胸をわし掴んだ男の名は、御門 暁良。
オレん家のお隣さんの次男坊。所謂、幼なじみってやつ。
…まぁ、お隣さんって言っても、オレの家とは比べものにならないくらい広ーい敷地の、謂わば豪邸なんで、お隣と言う表現はあんまり似つかわしく無いんだけど。
因みに、職業は…
「いい加減お前、電車使うのよせ。うちの車で送り迎えしてやるよ。」
「黒塗りベンツで送り迎えなんて、ヒかれるわ!!」
…そう。や○ざ。
極道の次男坊で、超絶美形で、文武両道で、生徒会長で、族の総長。
…こんな派手な男が、幼なじみなせいで、オレの日常も、刺激に満ちている。
オレ自体は、地味でごく普通の女子高生なんだけど。
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