Parallel
10
「…存在、理由…?」
男の指が、無遠慮にオレの服を暴きにかかる。
その行動と言葉の指す意味が分からない程、子供では無い。
正常な頭を持っているなら、直ぐ様跳ね除けるべき事態だ。
…けれど、今のオレには、それは、
どうしようもなく、優しい言葉に聞こえた。
…うん、分かってる。
イカレてるよね。
………、それでも。
男の綺麗すぎる顔に、そっと手を伸ばす。
「…捨てる時は、終わらせてくれる?」
永遠なんて、いらない。
瞬間でも、いい。
ただ、終わる時には、粉々に砕いて。
男はオレの言葉に、甘く笑んだ。
「…いいぜ。」
まるで、とても愛しいモノを見つめるように瞳を細め、オレの手を掴み、指先にキスを落とす。
「…飽きたら、オレの手で殺してやるよ。」
最低な言葉に、オレは安堵し、笑う。
この男はきっと、この約束だけは違えないと、何故か信じられた。
こうして、互いの名前さえ知らないまま、オレ達の歪んだ関係は始まった。
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