[携帯モード] [URL送信]

Parallel
8


「……読まねぇのか?」
「っ!!」


ビクッと弾かれたように後ろを見ると、男はオレのすぐ後ろに立っていた。


問い掛ける形だったが、男はオレが何に怯え、何に戸惑っているのか、既に分かっているかのようだ。


深海のような瞳に、映る自分は、まるで幼い子供のように頼りない顔をしている。
自分の進む方向さえ見失った、迷い子そのもの。


「…生きる事が、恐ろしいか?」


長い指が、ゆるりと頬を撫でた。


…怖い。


得る事も失う事も、怖いが、


「…何の意味もなく、生きる事が、怖い。」


正直に告げると、男は、そうか、と呟いた。


「…っ?」



そしてここに来た時みたいに、オレを肩に担ぎあげる。


ドサリ、
「っ…!」


寝室の扉を開け、男は放るようにオレをベッドに下ろす。


そのままオレに覆い被さるように、ベッドに乗り上げてくる男に、ギシリと軋んだ音がした。


.

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!