Parallel
6
男の指示で車が向かったのは、高そうなマンションだった。
本宅じゃねぇ。オレの部屋にまわせ、と男がいっていたのを考えると、男の自宅は別にあるようだ。
一室を借りて一人暮らししているんだろうな、と予想していると、オレが辿り着いたのは、最上階のワンフロア全て使った、広すぎて目眩がする部屋(?)だった。
男は、上着をソファーの背に投げると、所在なげに部屋の隅にいたオレの手を掴み、浴室へと放り込む。
言われるままにシャワーを浴び、用意されていた着替えを借り、リビングへ戻ると、其処に男はいなかった。
「…………。」
よく見ると、隣の部屋に続く扉が僅かに開いてる。
一瞬躊躇し、それでもこのままつっ立っているワケにもいかないので、其方へ向った。
ギィ…
「…………、」
其処は、書斎だった。
予想通り、男はいたのだが、執務机に向かいペンを走らせる男よりも、その後ろの本棚に目を奪われる。
上から下まで、ぎっしり本が詰まった大きな本棚が四つ。
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