Parallel
4
呼吸をしていれば、『生きている』といえるのか。
誰にも必要とされず、
ただ惰性で生きる事が、
本当に、『人間として生きている』事になるの?
「…………っ、」
前触れもなく、男の手がオレの顎を捉えた。
そのまま、上を向かされ、間近で瞳を覗き込まれる。
深遠の淵のような底の無い瞳が、呆然としたオレの顔を映していた。
「…面白ぇな、お前。」
酷薄そうな薄い唇が、ニィ、と歪められる。
初めて男の顔に、『表情』が浮かんだ。
「全てを拒絶したような顔してやがるが、目が、ソレを裏切る。」
ツイ、と目元を、男の長い指が辿る。
「お前の目は、飢えた獣の目だ。」
男の言葉に、オレは自分の感情を知る。
ソレは、拒絶と渇望。
背中合わせの矛盾を抱え、
オレは向うべき方角を決めかねている。
『生き』て、『求める』のか、
『死ん』で、『拒む』のか、
何、を?
――新たな『世界』、を。
.
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!