Parallel 8 「…このままベッド行きとどっちがいい?」 「何その二択!?」 真っ赤な顔で抗議するが、西崎は瞳を眇め、やけに色っぽい顔でオレの耳に囁いた。 「…お前に『春人さん』と呼ばれた時、その場で押し倒したかった位だ。……今まで我慢した忍耐力を誉めて欲しい所だぞ。」 「っ!!」 じ、自分で呼ばせたくせにー!! 「さぁ、どっちがいい?」 「……各々、お風呂入ってからって選択肢は…」 「無いな。」 あっさり却下です。 …でもこの分じゃ、一人でお風呂入ってても、勝手に入ってこられそう。 覚悟を決めて、オレは上目遣いでお願いしてみた。 「…泡風呂にしてもいい?」 「…勿論。奥さん。」 嬉しそうに笑って、西崎は再び歩きだした。 ぎゅう、としがみ付くと、西崎は、オレに頭をすり寄せるみたいに、くっつけてくれた。 「…可愛いな、オレの奥方は。」 「……はるとさんの、ばか。」 憎まれ口をたたくと、楽しそうに笑う気配。 「…馬鹿でいいさ。……泡に塗れたエロい姿、見せてくれるんだろう?」 「!!?」 目を見開き言葉を理解したオレは、慌ててもがくが、抵抗虚しく、さっさとバスルームに放り込まれてしまった。 入浴剤は和風派の筈の旦那さまが、やけにイイ笑顔で、バスキューブやバスオイル等を大量に買い込んできたのは、その翌日の話でした…。 …何に使う気だぁあああっ!!? . [*前へ] [戻る] |