Parallel
7
「みんな、結構早く帰っちゃったねー。」
後片付けをしながら言うと、西崎は何故かニヤリと笑った。
「遠慮したんだろ。…そもそも新婚家庭に上がりこむ方が無粋だ。」
…?
機嫌良さげな西崎に、首をひねりながらも、オレは洗い物を終え、西崎の着替えを用意する。
「お風呂わいてるから、入っちゃって?」
クローゼットの前から、リビングにいる筈の西崎に声を掛ける。
「ああ。」
「!?」
やけに至近距離から返事が返ってきたかと思うと、急に膝裏をさらわれ、抱き上げられた。
なななな何で、いきなりお姫様抱っこ!?
抱えられたままパクパクと口を開くと、西崎は、さっさと歩き始める。
「ちょ、ちょっと何処いくの!?」
慌てて西崎に訊ねると、至極アッサリと返された。
「風呂。」
…そうだよね。
入るって今、会話してたもんね。
でもさ、
「何でオレまで!?」
オレが当然の疑問をぶつけると、西崎はピタリと足を止めた。
…な、何?
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