Parallel
5
頬の火照りを誤魔化すように、小皿を手にとって料理に目をうつすと、手を取るように重ねられる。
ビックリして西崎に目を戻すと、西崎はオレを見つめながら、口を開く。
「…いい加減、『西崎』はよせ。お前も西崎なんだからな。」
「!!」
うきゃーっ!!
確かに、何度も注意された。
でも中々なおらないオレに、『しょうがない奴だ』と苦笑して、いつも許してくれてたのに…。
何でか今は、逃がさない、みたいな瞳でじっとオレを見つめている。
…皆の前で、恥ずかしいよー…。
「…強要するモンでもねぇだろ?」
見兼ねた清水先輩が、助け船を出してくれる。
「嫌がるのを、無理強いは良くありませんよ。」
設楽君も、フォローをいれてくれる。
でも、オレはちょっと考えた。
…強要?無理強い?
そんなんじゃない。
恥ずかしいだけで、嫌なワケ無いんだ。
西崎に勘違いさせたくなくて、オレは恥ずかしいのを堪えて、西崎を見上げ、呼び掛けた。
「…春人さん。」
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