Parallel
愛妻家のススメ
ピンポーン♪
「!」
夕食の支度をしていたオレは、その音にパッと顔を上げた。
菜箸を持ったまま、パタパタと慌てて玄関へ向かう。
ガチャ
「お帰りなさ…」
嬉々とお出迎えしたオレは、そこで固まった。
「…ただいま。」
ムスッとした顔で、そう言うのは、確かにオレの旦那様なんですが…その後ろに。
「お邪魔しま〜す♪」
「…久しぶり。」
「お邪魔します。」
「よ。」
…旦那様の後ろには、カオスな美形集団が。
まぁ、オレも知ってる人達なんだけどね。高校一緒だったから。
えーと。
端から
茶髪のイケメン、志藤静先輩。
無表情の短髪美形、元同級生、武藤蓮。
キラキラ王子、元同級生、設楽安史君。
一見美少女、中身男前、清水凪先輩。
「…どしたの、皆。」
キョトンとするオレに、静先輩が、大きなビニール袋を見せた。
「さっきそこで、偶然!会ってさ。…一緒に飲まないかって話になったんだけど……お邪魔してもいいかな?」
「……何が偶然だ。待ち伏せしてやがったくせに。」
良い笑顔の静先輩とは対照的に、旦那様は、不機嫌な顔でブツブツと何事か呟いているが…。
「どうぞ!いらっしゃいませ。」
オレは笑顔で、中へと招いた。
だって、オレがやってみたかった事の一つ。
旦那様の同僚や友達に、お料理やお酒を振る舞う事。
……何か、妻っぽいじゃん?
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