Parallel
俺様彼氏
「……い」
ん…、
「…おい。」
…うん?
微睡むオレに、誰かが呼び掛ける。
覚醒しない意識で聞いたその声も、ゆるゆると頬を撫でる指も、とても馴染み深いものな筈なんだけど…、
布団の暖かさと、指の感触が気持ち良くて、目が開けられないオレ。
「………。」
考え込むような気配がして、やがて、ギシ、とベッドが鳴った。
………?
フワリ、と覆いかぶさってくる暖かい感触と重みに、オレは漸く、ぼんやりと目を開けた。
「……よぉ。」
「……!?」
視界いっぱいに広がる、綺麗すぎる顔。
長い睫毛の一本一本や、藍色の瞳の光彩、羨ましくなるような肌のきめまで見える至近距離に、オレは大きく目を見開いた。
ガバッと身を起こし、真っ赤な顔でオレは、壁に張り付いた。
「…な、な何してんの!?馬鹿暁良!!」
「…オレを馬鹿呼ばわりするのは、お前くらいのモンだ。」
悪戯っぽい目で暁良は、妖しい笑みを浮かべた。
「痴漢がほざくなっ!!」
「痴漢?何もしてねぇだろ。」
噛み付くオレに、暁良は、心外だ、と言わんばかりの顔で、おもむろに手を伸ばした。
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