Under
2
己の欲望に正直なオレは、凛の飲み物にアルコールを混ぜてみた。
酒の力を借りたら、凛の本音…もしあるなら、オレに対する不満なんかも聞けるんじゃねぇかと思ってな。
…そして出来上がったのが、
此方の、何とも可愛らしい酔っ払い、だ。
「にぁはははー。」
ふにゃふにゃ笑いながら凛は、机に懐き、向かいに座るオレに手を伸ばす。
その手をとり、指を一本一本絡めるように繋いで、あやすように指の腹で、凛の手の甲を撫でると、凛はピクリと震えた。
「…………、」
相変わらず一々美味そうな反応すんなぁ。と、思わず笑みをこぼす。
隙あらばセクハラすんのは男の性分だと諦めてくれ。
「…なぁ、凛。」
「…はぁい?」
「今日は、約束破って、ごめんな?」
「…………。」
オレがそう言うと凛は、不思議そうにコトリと首を傾げ、暫く考えたあと、フルフルとゆっくりかぶりを振った。
「いぃです。…出掛けなくてもー、こーしてれば、オレちょう楽しーい…し」
にこぉ、と本当に楽しそうに笑う顔には、嘘は見つけられない。
オレに対する不満も、全く。
本当に無欲で、まっさらな、オレの恋人。
不満も拗ねた言葉も聞けないなら、せめて
「…じゃあ、オレになんかして欲しい事はねぇか?」
「……くろさん、に?」
キョトンと目を丸くする凛に、オレは笑む。
「お詫びに、じゃねぇが、今日はなんでも言う事きいてやるよ。」
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