Under
3
「…何か欲しいもん、無いか?」
そう言って黒さんは、心配そうにオレを覗き込んだ。
動けないオレは、苦笑しながら、かぶりを振る。
オレの座椅子と化している黒さんは、後ろからオレを抱えたまま、不安げな表情で、オレの額に手をあてた。
「熱は…無いな。」
ホゥ、と安堵の息をつく黒さんに、オレは苦笑を深くする。
「大丈夫ですよ。…心配性だなぁ。」
すり、と甘えるように、黒さんの胸に凭れかかると、黒さんは、オレの頭を引き寄せ、チュ、とキスをした。
「心配するのは当たり前だろ。…まぁ、オレのせいなんだけどな。明日の夕方には送って行くから、それまでゆっくり休んでろ。」
「…………。」
帰りの話になり、オレは無言で俯いた。
…そうだ。
また、この人と、離れなきゃならないんだ。
途端に、鬱々としだしたオレに、黒さんは、優しく目を細める。
「……りぃ?」
「…………はい。」
「…オレと、離れんの、嫌か?」
「……当たり前、です。」
帰りたく、ない。
そうボソリと呟くと、黒さんは嬉しそうにオレの髪を撫でた。
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