Under
Side 黒さん
※黒さん視点です。
「………。」
用事を無理やり終わらせ、部屋に着く頃には、既に時間は深夜に差し掛かっていた。
部屋の鍵をあけながら、己の現金さに笑いがこみあげてくる。
どう考えても、数時間で終わらせられるような用事ではなかったんだが…我慢出来なかった。
久々に、アイツが帰ってきているってのに、つまんねぇ用事なんかの為に、すれ違うなんて。
「…あんま聞き分けが良すぎんのも、寂しいよなぁ。」
思わず、独り言を洩らした。
オレに会いに、強引に帰って来てくれたのに、用事で出掛けなきゃならない、と言ったオレに、凛は文句の一つも言わなかった。
笑って、いってらっしゃい、と呟いた凛が、少しだけ哀しそうに眉をひそめたのを見て…抱き締めそうになったオレは、重症なのかもしれない。
キィ…パタン
部屋の中は、真っ暗だった。
時間が時間だけに、寝ちまったんだろうな、と諦め、オレは短く嘆息した。
「…………。」
…ああでも、寝顔だけでも見てぇ。
アイツに飢えすぎていて、一緒に寝るのはヤバイ気がするが…、
せめて、一目だけ。
そう思って、起こさないようそっと、寝室のドアを開けたオレは、衝撃に目を瞠る事となった。
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