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帰ってきたら、黒さんは家にいた。
でも、タイミング悪く、用事があるとかで、丁度出掛ける直前だった。


…そりゃ、顔見たいと思って帰ってきたんだし、数分でも会えたんだがら、目的は果たせましたよ、ええ。

…でも、


「……足りない。」


洗い物をする手を止め、オレはポツリと呟いた。


さっきからずっと、馬鹿みたいに思い返すのは、
『…ごめんな。折角会いに来てくれたのに』
そう、困ったような顔で、オレの髪を撫でてくれた人の事ばかり。


困らせたくなくて、
いってらっしゃい、気を付けて下さいね、
なんて送り出しちゃったけど、


許されるなら、引き止めたかった。
子供みたいに駄々捏ねて、一緒に居てって、言いたかった。


「……、」


ダメだなぁ、オレ。


自己嫌悪に陥りながら、オレは洗い物を再開した。



どうせ、黒さんは、今日は帰ってこない。
早くても帰りは、明日の昼頃になるって言ってたし。


とっととお風呂入って、寝てしまおう。


そう決めて、オレは手早く洗い物を済ませ、浴室へ向かった。


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