Under
Perfume
「……ハァ、」
オレは食事の手を止めて、何度目かになる深いため息をついた。
「………。」
ぼんやりと、減っていない自分の皿を眺め、そのままオレは箸をおいた。
具合が悪いわけじゃない。
でも、食欲が無い。
自分の好物をつくったつもりだけど、全然美味しく感じない。
…理由は、分かっている。
「…………。」
テーブルを挟んだ向かいの空席を見て、オレはもう一度、ため息をついた。
…美味しくないのは、料理のせいじゃなくて、
一人、だから。
たわいもない話をして、笑い合う相手がいないから。
「…こんな事なら、ちゃんと連絡入れておくんだった。」
ごちそうさま、と手をあわせ、食器を片付けながら、オレは独り言をもらす。
実は今、オレは黒さんの所に帰省中です。
と、言っても、夏休みとか長期の休みじゃなくて、ただの週末。
帰ってくる予定も無かったんだけど、むりくり帰ってきてしまった。
…どーしても、会いたくなって。
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