Under
12
「…黒さん。」
「ん?」
ここに来た当初とは全く違い、機嫌良さげに黒さんは、オレの髪を梳いている。
子猫にするみたいに、頬や顎をたまに指で擽る仕草は、ただひたすらに、甘い。
…流石に子供扱いされてる、とは思わないよ。
これがこの人の『恋人の甘やかし方』だって、分かってきたし。
「…誤解は解けたんですよね?」
「…ああ。」
ピタリと手が止まり、途端、眉間にシワが寄る。
…ちゃんと、事の経緯は説明した筈なのに。
「…白虎さん達を、苛めちゃダメですよ?」
「…………。」
……返事が無い。
……意外な事に、オレの大好きな恋人は、結構やきもちやきだったらしい。
「……黒さん?」
呼ぶと、黒さんは、暫く考えこんだ後、ニヤリ、と笑った。
「…苛めはしねぇよ。……ただいい機会だ。お前に手を出すと、どうなるか知らしめておこう。」
「…………。」
あぁ…。
ごめん…白虎さん。こうなると、オレでも止められないんだよね。
無責任に投げ出したオレの思考が伝わったのか、不穏な空気を察知したのか、
…それとも恐ろしい何かを見たのか
暫くの間、四天王のうち三席は空席でした。
不思議そうに首を捻った玄武さんに、黒さんが、やけに晴れやかな顔で笑ったのが、とても印象的でした。
おしまい。
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