Under
10
「…りぃ、いい加減、機嫌なおせよ。」
黒さんは、困ったみたいに笑いながら、オレの髪を梳いた。
「…結局夕方になっちゃったじゃないですか。」
あれから何度イタシたんだか覚えてないけど、目覚めたら既に四時すぎてて。
しかも体(主に腰)が痛くて起きれないし!
「メシなら、今日はオレがつくるよ。」
「…黒さんが?」
キョト、と目を丸くするオレに、黒さんは優しく笑う。
「お前ほどじゃないが、一応作れるぜ?」
まぁ、オレが転がり込む前は、一人暮らしだった訳だし。当然といえば当然。
「何食いたい?お姫様。」
…誰が姫か。
「…じゃあ、オムライス。」
「りょーかい。」
オレの頭を撫でてから、黒さんは立ち上がった。
開いたドアの向こうから、調理器具や食材を用意する音と一緒に、機嫌良さげな黒さんの鼻歌が聞こえてくる。
恥ずかしいような。
嬉しいような。
むず痒い、けれど暖かな気持ちを抱え、オレはもう一度シーツに包まった。
まだまだ続く、この甘い休日を堪能しよう。
ちょっと意地悪で、凄く甘い、大好きな恋人と一緒に―――。
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