Sub 4 誠さんは、ますます目を見開き、青さんは、呆気にとられたように、フリーズした。 「………それは、また…」 珍しいな、と苦笑する誠さんに、青さんも頷く。 「…つか、お前と総長って、喧嘩すんだな……。」 「……初、です。」 ボソリと呟くと、慰めるように、少々乱暴な仕草で、髪を掻き混ぜられた。 「…理由、聞いてもいいか?」 誠さんは、優しい声で、そう聞いてきた。 オレは少し間を開けて、頷く。 「……昨日、誕生日だったんです。」 オレが端的に呟くと、青さんは、誕生日?、とオレの言葉を繰り返した。 「……誕生日って、お前の?」 青さんの疑問に、オレはフルフルと、緩くかぶりを振った。 「……黒さんの、です。」 「……総長の?」 そうなのだ。 昨日が、誕生日。 ――昨日、が。 「…ガキ臭い我が儘は、承知してます。……でも、オレは教えて欲しかった。……お祝い、したかった。」 ずっと前から、教えて下さいって言ってたのに。 何だかんだではぐらかされて、教えてもらえないままで。 漸く教えてくれたと思ったら、…昨日って!! 昨日にはもう戻れない。 また来年も来るけれど。 今年の誕生日は、おめでとうも言えないまま、過ぎてしまった。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |