Sub ぶ○森ネタ。 カタン、カタン 一定リズムの音と振動が心地よい。夢うつつのオレを、誰かが呼んだ。 「……ん、……凛さん」 「……ぅん?」 柔らかい声と、そっと肩を揺らす手。 いつの間にか微睡んでいたオレの意識は、ゆっくりと浮上した。 けれど眠気がすぐに消える訳ではないので、目蓋を開ける事に苦労していると、 「どうしましょう、桜子ちゃん。こんなに良く眠っている凛さんを起こすのは忍びないわ」 「本当、気持ち良さそうに寝てるものねぇ」 困った声に相槌をうつように、クスクスと笑う別の声。 ……なんか二つとも聞き覚えがあるな、とぼんやりと目を開けると。 「あら、おはよう。凛君」 「お早ようございます。凛さん」 志藤家の一件で知り合った、各々に違う魅力を持つ美人双子姉妹がいた。 「……桜子さんと、撫子さん?」 はい。そう言って微笑む少女と、笑顔で頷く少女を見ながら、オレは思う。 ……此処は一体何処だ。 オレは確か、寮の自室で眠りについた筈。 なのに今居るの場所は、乗り物の中。揺れや音的に、おそらく電車。 時間も昼らしく、窓からは太陽の光が降り注ぐ。 …………………………………………ああ、これ夢か。 そうオレは結論付けた。 眠る前にやっていたのは、最近発売されたばかりの『と○だせど○ぶつの森』 それに影響された夢を見ているんだろう。 「凛君、まだ寝呆けてる?大丈夫?」 ヒラヒラと手を振る桜子さんに、オレは頷いた。 「はい、もう大丈夫です」 「本当?ちゃんと目を覚ましてね。もうすぐ村着いちゃうんだから」 夢の中で『起きてる』って言うのも微妙な感じだなぁ、と苦笑しつつも返事をすれば、何故かヤケに真剣な顔をした桜子さんと目が合う。 さっき迄のゆったりとした雰囲気から一転、鬼気迫る様相に、オレは目を丸くした。何事ですか一体。 「……心配なので、凛さんだけを村に送り出すのは凄く嫌なのですが……」 撫子さんまで、悲壮な顔で目を伏せる。 頷き合いながら、仕方ない、とか、でもやっぱり、とか繰り返す二人の空気はまるでお通夜。オレの不安はだんだんと膨れ上がり今やピークを向かえそうです。 あ、あれ?………あれっ!?ぶ○森だよね!? これからオレを待っているのは、釣りやら虫取りやらしながら動物達と触れ合うスローライフだよね!!? 「気をしっかり持って下さいね、凛さん」 「敵に甘い顔をしてはいけないわ。奴らは無害そうな顔で近付き、此方が油断するのを虎視眈々と狙っているんだから」 ど ○ ぶ つ の 森 の 話 で す よ ね !!? 「そうだ!撫子!まだ道具渡してないわよ」 「そうでした!」 ガサゴソと荷を探る彼女らを、オレは死んだ魚の目で見つめる。既にもう死にそうなんですが。 つか降りたくないんですけど!! 「先ずはこれね」 そう言って渡されたのは、木を植える為のスコップ……かと思いきや、鉈(なた)。 …………ナタ。 ………あ、そうだ。木を切るんですね分かります! 斧の代わりですねウンソウダヨキット。 「次は此方です」 そう言って出されたのは、虫取り網ではなく、魔心眼でもなくマシンガン。 ………………あ、パチンコの代わりですねハイハイ。風船割るんだオッケープレゼントも割れそう所かハチノストカキニスンナ。 「最後にこれ」 虚ろになったオレに差し出されたのは、ジョウロな訳は無く、ある意味統一性バッチリの手榴弾だった。 家の解体も一発でオッケーですねアハハハハハHa…………止めたげてオレのHPはもうゼロよ!!! キキー… 「!」 減速する音とともに車内アナウンスを知らせる軽快な音が鳴り、オレはビクリと体を震わせた。 ポン、と両肩に二人の手がのる。 涙目で見上げるオレに、二人は神妙な表情と声で、死刑宣告をくださった。 「さぁ、ついたわよ。凛君」 「らすいち村です」 此処からオレの、サバイバルな生活が幕を開けた。 ――とび○せ野獣の森―― (背後に忍び寄るホモ共を蹴散らし、君はこの村を脱出できるか!?) カミングスーン…(笑) . [*前へ] [戻る] |