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「お願いがありますっ!」



バンッ、と音をたてて扉を開けると、呆気にとられたような顔の誠さんと青さんが出迎えた。



そう。
オレが道場破りのように飛び込んだのは、《陰/陽》の溜り場である『Liar』。

誠さんが経営するお店だ。


今日は集会は無いので、店には誰もいないと思ったんだが、用があったのか、青さん一人だけがいる。


「…陰、よく分からんが、とりあえず座んな。」


誠さんは、半泣きのオレを、手招きする。


呼ばれるままに、テコテコ歩み寄り、青さんの隣のカウンター席に座った。



「ちょっと待ってな。」


誠さんは、そう言って厨房に入って行く。


俯いたまま、自分の膝を見ていると、グイッと青さんは、自分の袖口で、オレの目元を拭った。


「…何ベソかいてんだよ。誰かに虐められたか?」


からかうような口調なのに、声は凄く優しくて、また新たにジワリと涙が浮かびそうになった。


「そんな命知らずいんのか?」


コトリ。

揶揄する声とともに、オレの前に、まるっとしたマグカップが置かれる。


誠さんが作ってきてくれたのは、ホットミルク。
香り付けにブランデーを垂らしたソレは、オレが好きなもので。


「暖かいうちにどうぞ。」


そう言って笑ってくれた誠さんに、オレもつられて笑った。


「…ありがとうございます。」


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あきゅろす。
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