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バーサス
「…えーと。」
買い物袋を腕に掛け直しながら、オレはポケットに突っ込んであったメモを取り出した。
「…買い忘れは無いよなぁ?」
一個一個脳内で数え、確認する。
ハァ、と吐き出した息が白く凍り、オレは無意識に指先を擦り合わせた。
この寒い中、も一回買い物行くのは避けたい。
「うん、…大丈夫そうだな。」
呟いて、メモごとポケットに手を突っ込む。
早足になりながら帰り道を急げば、交差点で信号につかまってしまった。
…早く帰りたい時に限って、信号につかまるのって、何でなんだろ。
憮然としつつも、横断歩道の手前で止まり、赤い信号を見つめつつ、もう一度、息を空中に向かって吐き出した。
…そろそろ起きたかなぁ。
こっそりと抜け出した時には、まだぐっすりと眠っていた人を思い出す。
昨日遅かったし、疲れてたっぽいから起こさなかったんだけど…。
ピッ、プルルル…
「!」
.
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