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4


ザー…




「………、っ。」


ザー…


「……ぅ…っあ…!」

「……、?」


雨音に紛れて聞こえる、苦しそうな声に、オレの意識は、急激に浮上する。



「………。」


暗闇の中、数度瞬きし、焦点を合わせようとする。

モソモソと、ゆっくり身を起こし辺りを見回した。


「……ぐっ…ぁ、」
「!!」


声の正体を確かめたオレは、瞬時に覚醒した。


「武藤っ」


武藤は、眉間にシワを深く刻んで、苦しそうにうなされている。


藻掻くように
縋るように


虚空へ伸ばされた武藤の手を、オレは握り締めた。


「武藤っ…!」
「っ…!」


叫んだオレの声と同時に、武藤の目が見開かれた。


「……っ、」


息をつめ、何もない空間を凝視していた武藤は、やがて己の手を辿るように、オレへ視線をうつし、漸く、止めていた息を吐いた。


「…大丈夫、か?」


「……ああ。」


オズオズ、と訊ねると、武藤は苦笑まじりに返した。

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