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「寒ぃ。」


「お望みならエアコンつけますわよ?ご主人様。」


「湯タンポがあるから、いらねぇ。」


湯タンポって、オレかい。


武藤はそう言い切り、話は終わったと言わんばかりに、テレビに視線を戻す。


…返事は大体予想ついてたけどね。


武藤って、エアコンの風、好きじゃないんだよ。
聞いたトコによると、喉痛めるらしい。

自分の部屋には、加湿器があるから平気みたいだけど、オレの部屋には、当然、んなモンない。


「……あ。」


考え事をしてるうちに、時間はもうすぐ9時。


オレは武藤の手からリモコンを奪い、チャンネルを変えた。


「…洋画見せろ。」

武藤は不満そうだ。


コイツ、海外モノのドラマとか、洋画好きだもんなー…。


「だが断る。…オレは湯煙殺人事件が見たいの。どうしてもってんなら、自分の部屋帰れ。」


武藤はムッツリと黙り込んだが、帰ろうとはしなかった。


…テレビ、壊れてんのか?


しかし、湯煙殺人事件が終わる時間になっても、武藤は帰らない。


どころか、欠伸をしながら、オレの寝室に、勝手に入って行く。


うぉーい!!


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