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「マグカップ買うんですか?」
「おう。…準備室で使ってたやつ、この前割っちまったんだ。」
雑貨屋の陶器コーナーで、センセは真剣な顔でカップを見ている。
…パステルカラーのマグカップは確かに可愛いけど、センセには似合わないんじゃないだろうか。
しかもグリーンはまだしも、ピンクはよせ。
右手の愛らしいピンクのマグを置け。
センセがそれ使うの、見たくないよ。
「…センセ。」
「んー?」
すっかりマグカップに気をとられているセンセは、一応返事はするけれど、こっちを見ようともしない。
マグカップ一つに、真剣そのもの。
…子供か。
「…ね、見て。あの人…」
「うわ…凄いイケメン。」
…ん?
センセの後ろで、ぼーっと待ってたオレの後ろから、興奮気味の女の人達の声が聞こえた。
ちら、と見ると、OLっぽい若いお姉さん2人が、頬を赤く染めながら、桐生センセを見ていた。
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