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オレは震える手で、扉をほんの少しだけ開ける。
隙間から中を覗いたオレは、息を飲んだ。
「好きなんです…桐生先生…。」
後ろ姿では顔は分からないが、小柄な少年は、そう言ってセンセに抱きついた。
…何、してんの?
何で、オレのセンセに抱きついてるの?
「………。」
センセは、困ったような顔で、少年の肩に手を置いた。
サラリ、と手触りの良さそうな少年の髪を、センセの大きな手が撫でる。
「っ…!」
やめて。
その手は、オレのだよ。
センセが頭を撫でるのは、オレだけでいいでしょ?
泣きそうになりながら、オレは唇を噛む。
醜い自分の考えに、吐き気がした。
センセにとって、あの子は大事な生徒で。
大切に扱うのは、当たり前なのに。
…やく必要なんて、どこにもないって、頭では理解しているのに。
ココロがついていかない。
どーしようもない、醜い独占欲だけが、いっぱいになっていく。
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