Sub 拍手K 静視点。 《煩悩の捨て方知りませんか。》 『犬も獣です。』の静視点。 …初めに、言っておきます。 最初の一回は、わざとでは無かった。天地神明に誓って。 ……ですが、 二回目からは、わざとじゃない、なんて口が裂けても言えません。 もうガッツリ、欲望1000%です。 …………誰かオレを、埋めて下さい。 「……………。」 間近には、りっちゃんの、呆然とした顔。 真っ黒な瞳が瞠られて、まん丸になってて凄く、可愛い。 ゆっくりと視線を下げたオレの目は、吸い寄せられるように、りっちゃんの唇に辿り着く。 柔らかそうな唇は、薄くひらいて、誘うように、薄紅に色付いている。 …誘われているようだ、なんて言い掛かりも甚だしいのは、分かっているのに、 つ、と指先で触れた己の唇が、…アレに触れたんだ、と思った瞬間、 ―――プツリ、と。 何かが切れる音が、した。 しずかちゃん、と呼ぶ彼の声を、奪う。 もう一度触れた唇は、柔らかくて暖かくて、目眩がしそうに、甘かった。 唇を何度も食む。 角度を変え、重ね、吸い、無心に舐めた。 美味しい…どうしようもなく。 重ねただけのキスで、こんなにも感じるんだから、きっと咥内は、もっと、 もっと、甘い――。 「…んむっ!!?」 脇腹を撫でて、彼の気を逸らし、その隙に歯列を割り開く。 ああ、やっぱり 痺れる。 まるで麻薬のような快感が、身体中を駆け巡り、下腹部に溜まる。 りっちゃんが時々洩らす、くぐもった声とか、唾液の絡まる音とかが、耳からもオレに快感をもたらす。 可愛い。 可愛い。 ――大好き。 どうしよう。ヤバイ。 キスだけで、狂いそうなくらい気持ち良い。 ――――溺れる。 「…しずかちゃんっ!!!!」 「…っ!!?」 ハッ、と、 オレは我に返った。 呆然としながら、りっちゃんを見る。 涙の滲んだ漆黒の瞳。 真っ赤に染まった頬。 腫れてプックリと膨らんだ、赤く色付いた唇。 「……っー!!!!」 な、なにしてんのオレー!!!? 怒るでも無く何事かフォロー的な事を言ってくれたりっちゃんの顔もまともに見れず、オレは脱兎の如く逃走した。 …………ーーっ!!!!!!! 全力疾走しながら、オレはこのまま分子レベルに分解され、地球に還る事は出来ないものかと真剣に考えた。 相当広い庭を、端から端まで駆ける勢いで、オレは駆け続けた。 時折家人だか門下生だかにギョッとした顔で見られたけど知るか!!!オレを今すぐ埋めてくれるなら止まるよ!!! 「…………、」 ゼー…ハー…と息も絶え絶えになりながら、よろけるように踞り、オレは頭を抱えた。 最悪だ…最悪すぎる。 恩人で怪我人で好きな子を、無理矢理襲うとか…!!!死ね!!!マジで死んでしまえオレ!!!! そうやって自己嫌悪に襲われている間にも、浮かぶのは、赤く染まった煽情的な顔とか、 擦れた、甘い声とかで。 最悪なオレは、自分の下半身を見ながら、ため息をつき、更なる自己嫌悪に陥るハメになったのだった。 「…………勃った。」 俗物でごめんなさい!! (…でも、マジ気持ち良………、) (ああもう死ねオレ!!!!…いっそ出家とかすべき!!?) END [*前へ] [戻る] |