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手をつないで。
(パラレル設定で、青さんと凛はお付き合いをしています。尚且つ、初めていたした(笑)次の日、です。)
「………うぅ…。」
オレは情けないうめき声をあげながら、カウンターに突っ伏す。
ヒヤリとした感触に若干緩和された気もしたが、相変わらず下半身は鈍い痛みに襲われている。
痛ぇ…。
言われた通りに、大人しく部屋で寝ているべきだったかもしれない。
…いやいや無理だ。
あそこに1日ずっと大人しくしてるとか、恥ずかしくて死ねる。
ヒヤ…、
「冷た…」
頬に冷たい感触を感じて目を開けると、心配そうにオレを覗き込む瞳とかち合った。
「青さん…。」
呟くように呼ぶと、今迄あてられていた氷入りのグラスのかわりに、青さんの手がオレの頬を包み込む。
「…痛むか?」
「…っ、……へいき、です……。」
至近距離の瞳を見ていられなくて、オレは僅かに俯いた。
「…少し熱っぽいな。」
「…ちょっ!?」
コツ、と控え目な音とともに額と額を合わせられ、オレは無様なくらい取り乱した。
だだ、だって近っ…!!
慌てふためくオレに気付きつつも、青さんは離れてはくれず、額を合わせたまま、もう一度オレの頬をソロリと撫でる。
まるで壊れ物に触れるような、繊細な手つきで。
間近に迫る少女じみた華やかな美貌が、似つかわしくない、雄の壮絶な色香を纏う。
「…優しくしてやれなくて、ワリィ。……お前が可愛すぎて、セーブがきかなかった。」
「っ!!!」
…オレが機械だったら、間違いなくボンッて音をたてて壊れてたと思う。
とっくにキャパを超えていたオレの思考回路は、ショート寸前です。
ただでさえ、最近の青さんは格好良すぎだと思うのにっ!!
いやいや、恋人の欲目なんて、ほんのちょっとしか含まれてませんて。
だって、今までだって充分格好良かったのに、唯一親近感を感じられた身長さえ、伸びはじめてんだよ、この人。
オレより低かった目線は、いつの間にか同じになり、最近では僅かに見下ろされてる気がする。
少女のようだった美貌は、少しだけ頬が削げ、瞳が鋭くなり、確実に大人の男に近付いていて、
「……凛。」
「っ…!!」
そんな顔で、そんな声で呼ばれてしまえば、オレはもう、この人しか見えなくなってしまいそうで、怖い。
顔を真っ赤にするオレを見て、青さんは困ったように苦笑した。
「…んな可愛い顔すんな。………また手加減してやれなくなる。」
「なっ、…!!!」
あまりなセリフに更に顔を赤く染め、金魚のように口をパクパクさせていると、青さんはプッ、と吹き出した後、とても幸せそうに笑った。
「………本当に、お前、可愛すぎ。」
「……………。」
からかわれた挙げ句、笑われて、本当は怒っていいとこなのかもだけど。
そんな顔されたら、怒れない。
「……夢見てる気分だ。お前がオレを受け入れてくれて、…こんな風にオレの隣にいてくれるなんてな。」
ましてや、そんな事を言われてしまえば、尚更。
ねぇ、青さん。
貴方は、オレが貴方の手をとった事を、奇跡みたいに言うけどさ。
オレにとっては、あの日
オレに向かって、
『オレはお前に、メチャクチャ惚れてる……好きだ、凛。』
そう言ってくれた貴方こそ、奇跡なんです。
「…夢じゃ、困ります。」
「だな。」
青さんは破顔して、オレの手をぎゅっと握り締めた。
オレも嬉しくて、負けない力で握り返す。
オレも貴方も、大概頑固者で、喧嘩もいっぱいするだろうけど、
それでもこうやって、手をつないで歩いていけたら、いいな。
二人で、
幸せへ続く道を。
(貴方となら、どこまでだっていけるよ、きっと。)
END
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