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「……………。」
「……………。」
後日オレは、玄武さんに相談してみた。
身内だったら反対されかねねぇから、確認とってからしたんだが、玄武さんは、実に難しい顔をして、黙り込んでしまった。
「………………カズ。」
「………はい。」
「……悪い事は言わん。やめておけ。」
長いため息のあと、玄武さんは、そう言った。
「…男同士だから、すか?アイツは確かにノンケっぽいし。」
「…いや、まぁ、それもあるが…」
珍しくも、歯切れ悪く口籠もる玄武さんに、オレは訝しみ眉をひそめる。
「…何すか?まさかアイツ自身に何か問題あるとでも言う気ですか?」
つい噛み付く言い方になってしまう。
例え幹部だろうと、アイツの悪口は許せねぇ、と心中で呟くと、玄武さんはオレ以上に剣呑な目付きで即座に否定した。
「そんなワケあるか。あんなに優しくて良い子は他にいない。……オレは割とお前をかっているんだが、この件にかんしては手助けはしてやれん。」
玄武さんに、目をかけてもらっている、という事は喜ばしい筈なのに、続いた言葉が気になって全く喜べねぇ。
あきらめるんだな、と宣告され、愕然としているオレの肩を、誰かが後ろから叩いた。
「…面白そうな話してんな?」
少女じみた華やかな美貌で、それに似合わない男臭いニヒルな笑みを浮かべるのは、玄武さんと同じく、四天王に名を連ねる青龍こと青さん。
何故かいつもの五割増し、笑顔に迫力があるのは何でだ。
「ウチのチームに、君みたいな命知らず…いやいや、将来有望な男がおったとはなぁ…。」
吊り上がり気味の細い目を弓形に歪め、気紛れな猫のように笑みつつ、不穏な発言をしたのは、同じく四天王の一角、朱雀さん。
…何か聞き捨てならねぇ発言があったのは、気のせいか?
てか、何かオレ、四天王に囲まれてね??
白虎さんが揃ったら完璧だが、そんな完璧全く嬉しくねぇ。
「…見る目がある、と誉めてやるべきか?」
「いやいや。いつからそんな心広ぅなったの、青。害虫相手にとるべき対処は…一つやろ。」
「駆除か…エゲツねぇ…が、嫌いじゃねぇぜ。」
何この人達怖っっ!!
所々聞こえないものの、怖すぎる会話に、オレは思わず後退った。
…が、背後にいた誰かに、ぶつかってしまう。
トン、とぶつかったと同時に、何故か両腕を掴まれた。
恐る恐る振り返った先には、異国の王子のような風貌の美形が、まばゆいばかりの綺羅綺羅しい笑みを浮かべていた。
「作戦会議に必死なのも結構ですが、いいんですか?逃げちゃいますよ、虫君。」
…虫とはオレの事ですか。
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