Main 2 「……………。」 何故か考え込むように、しずかちゃんは俯いた。 …疲れと混乱を表すように、額に手をあてて。 「………えーと。何から訂正したらいいか分からないけど、取り敢えず。…オレに彼女はいないよ。」 「あれ?そうなの?」 「そうなの。」 …ああ、そっか。 そういえば、桜子さん、婚約者だって言ってたよな。 「…ちなみに、桜子とも、何でもないから。」 「!」 心の声を読まれた!! そんなにオレって、読みやすい思考回路してんのか。 「家同士が決めた名ばかりの婚約者だし。桜子見ても分かるでしょ?互いにそういう感情はゼロだよ。」 「…………。」 しずかちゃんの言葉に、オレは昨日の桜子さんの様子を思い出す。 しずかちゃんに、婚約解消の話題を振られ、表情を僅かに陰らせた彼女を。 …勝手な推測だから、確証なんて無いけど、少なくとも桜子さんは、しずかちゃんと婚約解消したいなんて思ってない気がする。 でも、ソレはオレが言っていい事じゃない。 部外者が首を突っ込んでいいラインを超えてるから。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |