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「……………。」
何故か考え込むように、しずかちゃんは俯いた。
…疲れと混乱を表すように、額に手をあてて。
「………えーと。何から訂正したらいいか分からないけど、取り敢えず。…オレに彼女はいないよ。」
「あれ?そうなの?」
「そうなの。」
…ああ、そっか。
そういえば、桜子さん、婚約者だって言ってたよな。
「…ちなみに、桜子とも、何でもないから。」
「!」
心の声を読まれた!!
そんなにオレって、読みやすい思考回路してんのか。
「家同士が決めた名ばかりの婚約者だし。桜子見ても分かるでしょ?互いにそういう感情はゼロだよ。」
「…………。」
しずかちゃんの言葉に、オレは昨日の桜子さんの様子を思い出す。
しずかちゃんに、婚約解消の話題を振られ、表情を僅かに陰らせた彼女を。
…勝手な推測だから、確証なんて無いけど、少なくとも桜子さんは、しずかちゃんと婚約解消したいなんて思ってない気がする。
でも、ソレはオレが言っていい事じゃない。
部外者が首を突っ込んでいいラインを超えてるから。
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