Main 何がしたいの。 西崎もすっかり何時もの調子を取り戻し、武藤をうろんな目で一瞥すると、呆れたように嘆息した。 「…男の嫉妬は見苦しいぞ。」 ぼそり。 呟かれた一言に、ピクッと武藤の肩が揺れた。 武藤は眉間にシワを寄せつつも、端正な顔に皮肉げな笑みを浮かべる。 「…目、赤くしている奴に、言われたくねぇな。」 ぼそり。 今度は西崎の肩が、ピクッと揺れた。 え、 ちょ… 何、この空気? 「「…………。」」 置いてきぼりなオレを放置し、二人は無言で睨み合っている。 「……気をきかせて席を外したんじゃないのか。今更蒸し返すのは、男らしくないんじゃないか?」 ため息まじりにそう言った西崎は、嘲笑を浮かべつつ、『小せぇ男』と吐き捨てるように付け加えた。 「人の好意を無にするような発言をしたのは、そっちだろーが。」 西崎の言葉を、ハッと鼻で哂い一蹴した武藤は、『陰険野郎』と、同様に付け加える。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |