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※清水視点です。


冷ややかな目で睨み付けるが、奴はビビるでもなく、涼しい顔だ。


「気分を害させて、申し訳ありませんでした、青。」

「…本当、可愛くねぇな。」


低く舌打ちし、オレは壁から足を外す。


ニッコリ笑って、再び歩き始めた奴の隣を、オレも不本意ながら歩き始めた。


「…今回は、このクラスです。」


ピタリ、と奴は足を止める。
どうやら原始的に、端からクラスをつぶして歩く気らしい。

確かに、コイツは陰の名前は知らないが、顔は当然知っている。

しかも、もうすぐホームルームが始まる今の時間であれば、全員が揃っている可能性は高い。



…マズいな。


そのクラスは、ビンゴで陰のクラスだ。



いくら、髪の色を替え、眼鏡を掛けたとはいえ、所詮、突貫工事並の簡易変装。

それで、何処までコイツを誤魔化せるか。



オレが、考えている間にも、奴は教室の扉に手をかけてしまう。


…陰。
どうする…?


事の成り行きを見守るように、オレは息を詰めた。










しかし、オレの目の前で、奇跡はおきた。


その時、奴は、間違いなく輝いていた。


オレは、証言するぞ。
陰。


あの瞬間、お前は、神がかった平凡だった、と―――。


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