Main Side ??? ※???視点です。 「………。」 カタカタと、キーボードを打つ無機質な音だけが、部屋の中に響く。 オレは戸口に立ち、背を壁に凭れかけ、無言で待つ。 オレを呼んだのは、目の前の男。 オレは腕組みしたまま、次々と開くウィンドウが、男の無表情な横顔を照らすのを、ぼんやりとただ眺めていた。 「……おい。」 「何だ。」 抑揚の無い声が、短く問い返す。 その間も、男の目は画面を見たままで、尚且つ、キーボードを叩く指の速度も全く落ちない。 「いい加減、用件言え。」 忙しくはねぇ…が、眠い。 こんな所に長居する位なら、とっとと自室に戻って惰眠を貪っていたいだけだ。 男は暫く返事を返さない。 数分が過ぎ、オレが焦れた頃、パン、と締めくくるように少し大きな音をたてて、エンターキーを押した男は、漸く椅子を回して、こちらに顔を向けた。 いつもは掛けていないシルバーフレームの眼鏡が、男を一瞬、別人のように見せた。 …否、眼鏡なんて、ちゃちな小物のせいじゃない。 雰囲気そのものが違う。 今のコイツを見て、凡庸なんて言葉を吐ける人間はいないだろう。 冷徹で無慈悲。 周りを食い物にする血も涙もない 『情報屋 ハイエナ』 の二つ名に相応しい、仄昏い瞳。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |