Main 2 しずかちゃんが辛そうに顔をしかめ、掌をキツく握り締めるのを、オレは、ただ呆然と見守る事しか出来なかった。 家を、継ぐ? 重い言葉を消化しきれずに、オレは空回りする頭で、必死に情報を掻き集める。 確か、西崎が教えてくれた情報では、 しずかちゃんは、次男だった筈。…しかも、優秀なお兄さんがいるとの事だった。 なのに、――何故? 「…尚久…兄上が、いるではありませんか!貴方達だって、そのつもりで育てていたんでしょう?…何故、今更っ…!!」 しずかちゃんの声は、怒りが込められていた。 …けれど、それ以上に、悲しみや痛みがこもっている。 悲痛な叫びをあげ、立ち上がりかけている彼に、オレは咄嗟に手を伸ばした。 「…っ、」 ギュウッと、掌を握る。 しずかちゃんは、オレを見て、目を僅かに瞠った。 その目をじっと見つめ、 伝われ、と願いながら、繋ぐ指に力を込める。 …落ち着いて。 大丈夫、此処にいるから。 一人じゃ、ないからね――? . [*前へ][次へ#] [戻る] |