Main 4 ※日下部視点です。 しかし男は、見た事も無いような上機嫌な様子で、藍色の瞳を眇る。 「………?」 怪訝そうに伺う私に気を留めず、男は、何かを脳裏に思い浮かべるように目を伏せ、僅かに口角を上げた。 「…此処に居ると分かった。ならそれ以上は、他の奴にやらせる気はねぇ。」 その言葉に、私は瞠目する。 …飽きた訳でも、諦めた訳でもなかった。 この男にはあり得ない、『執着』の欠片を垣間見る。 酷薄そうな薄い唇を歪め、男は楽しそうに喉を鳴らした。 「日下部。…その『セキュリティの乱れ』と、『音沙汰無い情報屋』…導きだす答えは何だ?」 「…!?」 男の言わんとする事を察し、私は息を飲んだ。 …それだけで判断するのは、些か性急すぎる気はするが、確かにその可能性はゼロでは無い。 我が校のセキュリティに侵入するなど、並大抵の能力では出来ない。 為せる人物となると、かなり限られてくるだろう。 例えば、 名の知れた情報屋 ――『ハイエナ』。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |