Main 6 ※未来視点です。 ガクガクと、体が震えた。 怖い、 怖い…!! 「…どれほどオレが、あの子に焦がれているか、分かったでしょう?哀れな存在だと、同情したのでしょう?……ならば教えて下さい。早く、あの子をつれて来て。」 ギリ、と僕の顎を掴む手に力が込められた。 「…っ、」 身を乗り出し、間近で瞳を覗き込まれた。 ゾクリと背中があわ立つ。 狂気に満ちた瞳に、僕は気を失いそうになる。 この人にとっては、本当に『あの子』が全てで、他は何の意味も無いものなんだ。 自分の過去も、自分自身さえも、『あの子』に辿り着くための道具でしかない。 「早く…!!」 ガッと首に手がかかる。 「っ!!」 ごめん、 ごめん―――斎藤。 僕は、これ以上、あらがえる自信が無い。 こんな常軌を逸した人を相手に、 お前を庇いきれる自信なんて、無い。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |