Main 5 ※未来視点です。 「…っ、」 ドクン、 と心臓が大きく脈打った。 耳鳴りと、激しい頭痛が襲う。 プレッシャーで、吐きそうだ。 バクバクと早鐘を打つ胸を、自覚もないまま押さえながら、僕は、声を絞りだす。 「……あ、の子…って…?」 声が、不自然に擦れた。 それを、しまった、と悔いる前に、目の前の彼の瞳に飲み込まれた。 「…っ!!」 彼は、綺麗な形の唇に笑みを刷く。 天使の如き美貌が浮かべた笑みは、まるでこの世のものとは思えない位、美しくも妖しかった。 底知れぬ闇を秘めた瞳に、引っ張られる。 為す術も無く、奈落の底へ引きずり込まれそうだ。 「…質問しているのは、オレです。」 ヒヤリとした声音に、斬って捨てられた。 ゆっくりと伸ばされた手が、僕の顎を捕らえる。 「…!!」 恐ろしさに、あがりそうになった悲鳴をどうにか飲み込み、見上げた先の彼は、反論を許さない支配者の顔で、嗤った。 「…もう一度、聞きます。……あの子は、『陰』は、何処にいますか…?」 . [*前へ][次へ#] [戻る] |