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「静先輩のお家みたいに、由緒とか伝統とか全くなくて、恥ずかしいんですが…」
へり下った言い方が、我ながらムズムズするな。
そんな内心をおくびにも出さず、オレは困ったような顔をした。
「まぁ。そんな事言ってはいけませんよ。…お父様は一生懸命働いてらっしゃるんですから。」
…って言いつつ、瞳には、優越感が見え隠れする。
分かりやすい。
しずかちゃんを何故か敵視?している風の、この人的には、しずかちゃん側であるオレが大した所の出じゃなくて安心なんだろうけど。
一応、うち、金持ちなんですよ?
由緒とか伝統は、全くないのは本当だけど。
「…そう、ですね。一代で会社を大きくした父に聞かれたら、怒らせてしまいそうです。」
「素晴らしいお父様ね。…何のお仕事なのかしら?」
「アパレル関係です…『紗鞠(サマリ)』というんですが、」
「「…!?」」
ご存知ですか?と続けたオレを、しずかちゃんとお母さんは、同じように目を見開いて、見た。
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