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※日下部視点です。


ペラ…


男は無言のまま、書類を捲る。


聞いているのか、甚だ疑問な態度ではあるが、いつもの事なので気に留めない。


寧ろ、この嫌味な位有能な上司は、書類の内容も、私の報告も、一言一句違わず優秀な頭脳に記録されているのだろうから。


「…また、設楽安史の周りの部屋の者達から、争うような物音を聞いたとの報告も多数寄せられました。」


「………。」


ペラ…


相変わらず無言のまま男は書類を捲り、万年筆でサラサラとサインする。


処理済みのものを退け、テーブルに積み上げられた書類の束から、新たなものを取った男は、また無表情で書類に目を通し始めた。


「…差し出がましいようですが、今動けば、お探しの人物が見つかる可能性が高いのでは?」


私がそう進言しても、妖しいまでに完璧な美貌は、無機質なまでに、何の変化も見られない。


「そうだな。」


何の感情も感じさせない平坦な声が、そうアッサリと返ってきただけだった。


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