Main ご挨拶 ニッコリ余所行き笑顔を浮かべるオレに、しずかちゃんは目を軽く瞠った。 宜しくお願いします、と付け加えると、しずかちゃんのお母さんの、厳しい表情が、僅かに緩む。 やっぱり、育ちが良さそうなお坊ちゃんの方が、好感度はアップするらしい。 …まぁ、オレは育ち良くないけどね! 「まぁ、ご丁寧に。私は、志藤家当主、道明の妻、耀子です。」 微笑を浮かべながら、そう挨拶を返してくれたお母さん…耀子さんに、オレは内心、安堵の息を洩らした。 第一印象って、大事ダヨネ! …しかし、随分遠回りな挨拶だな。静の母です、でいいじゃん。 「静さんより年下なのに、随分しっかりしているわ。きっとご両親の教育の賜物でしょうね。」 何とも返答しづらいコメントを、オレは曖昧に笑って濁した。 「親御さんは、何のお仕事をなさっているのかしら?」 さっきの遠回りな言い方とは真逆に、直球来ました。 「…母上、」 苦い顔付きで間に入ろうとしてくれるしずかちゃんの袖口を、少し引いた。 視線を向けたしずかちゃんに、大丈夫、との意志を込め、オレは苦笑して首を振る。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |